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Wenn es im Universum noch ...

インターネットなどを見ていても分かりますが、最近では囲碁は世界中に遊ぶ人を見つけられるほどに普及し、アジアだけでなく欧米にも多くの強豪がひしめくようになっています。しかし、20世紀の初頭のヨーロッパではまだごく一部の人にしか知られていないエキゾチックなゲームでした。

フェリックス・デュバル (Felix Dueball 1880-1970) はドイツにおける囲碁の草分けで瀬越憲作に師事し、ドイツに最初の囲碁競技者団体を設立しました。1930年に大倉喜七郎の招きで来日し、本因坊秀哉名人に指導碁を打ってもらっています。この時の手合いが八子なのでおそらく初段を許されたものでしょう。

また、彼の息子フリッツは1950年代にヨーロッパチャンピオンになった強豪です。

また、チェスの第二代世界チャンピオン、エマーヌエール・ラスカー(Emanuel Lasker 1868-1941)もチェスを能くし、下のように述べたと言われています。

Wenn es im Universum noch irgendwo intelligente Lebewesen gibt, dann kennen sie vielleicht Schach, höchstwahrscheinlich jedoch Go (宇宙のどこかに知的生命が存在したならば、彼らはチェスをするかもしれない。だが、囲碁はきっとするはずだ。)

この文章はいろいろなところにこの有名なチェスの世界チャンピオンが囲碁の深淵さに強く感銘を受けた言葉として引用されていますし、ドイツ語で書かれた囲碁サイトや出版物にはいの一番に書かれている言葉でもあります。

ところが今回この文章を書くにあたって、この言葉の出典を探してみて少し驚きました。

ラスカーには”Brettspiele der Völker”(直訳:諸国民の盤上遊戯)という著書があり、囲碁についても章を設けているので、おそらくそこに書かれていると思い込んでいたのですが、あるドイツ人によると、同書のどこを見てもこういった文章は見つからないと述べています。

他の著書に書かれた言葉なのか、あるいはインタビューのような機会に漏らした言葉でどこかの記録に残っているものなのか、私にはまったく分かりませんが、ちょっとしたミステリーだと思います。

ところで、この二人のドイツ人の対局が今日に伝えられています。その途中図ですが、黒のラスカーが右上で定石を間違えてしまい、白の弱い石に対してツケノビたために形勢が白に傾きました。

ラスカーがどの程度、碁を真剣に打ったかは分かりませんが、この碁を見る限りでは棋力はさほどでもなく、チェスで鍛えた読みの力だけで打っている印象を受けます。ほかには棋譜が伝わっていないのでわかりませんが、どうも先の手合いではラスカーにはつらそうな感じがします。


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